*島想い*
島の時間はゆったりと流れて
月日が経つのも忘れ
想いは深い深い海の底にたどり着く
とじこめたのは時間
すぐ側の影におびえながら過ごした日々 あなた達と過ごした日々
楽しさも悲しさも
想い出はすべて沈めて
疲れはてたこの老体を嘲り笑う影が残って
帰らない日々 まぶしい光
誰も知らないイソギンチャクの木陰で 休んで優しい人魚の歌声に癒されて
とどまることのできない哀しさに 押し寄せる波の力にただ無力になって
もとの世界へは帰りたくなかったと言いながらも安堵に満ちた今
水槽から出てみたら地獄と天国の入り交じった世界
今はただ… 取り残された仲間達の顔を思いながら
ゆらゆらと流されていたい
いつか帰れるなんて妄想はとうに消された罪人の
眠りにつけば夢の昼下がり
庭の片隅で月桃がほほえみながらうなずいた
今はこうするしかなかったんだね、って風に揺れていた
帰りたい あの頃に 戻れない夢を 歌に口ずさんで
島想い