○夏の日に
夏の日の昼下がり
図書館で好きな詩集を探した
窓際の木の椅子に腰かけて
夕暮れになるまで
空が薄紅色から紫色になって
世界が海の底に沈んでいく
青く深い空
紺碧の空に浮かぶ生まれたての三日月と一番星
永遠に逢えない運命の恋人たち
空気に溶けこむ刹那
ふとよぎる歌
あなたと口ずさむ
遠い日の約束
瞼とじればいつもあなたは笑ってる
あなたはよく笑ってくれたからあなたの怒った顔を私は知らない
星に語りかけながら夏の日は足早に去っていく
後悔なんて無力で
時が経てば経つほど思い知らされる
あなたの孤独や辛い気持ちが苦さを増してく
真実は今もまだ深い霧の森
思い出す夏の日に
並んで歩いたあの時
あなたの背中
なんだか消えそうなくらい遠かったね
だってあなたはずっと遠くを見つめていた
自分の運命をきっと心のどこかで決めていたから
星になった人
あなたと最後に会った夏の日を私は一生忘れない